第21話 罪

即座に、アデスは異変に気づく。


空。


その先——


天と地を貫く、一本の“線”。


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「……セポネ……!」


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加速する。


風すら置き去りにする速度で。


だが——


近づくほどに、圧が増す。


観測する余裕など、ない。


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「これは……」


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幾重にも絡み合う薔薇と蔓。


それは塔だった。


だが同時に——


まだ“成長している”。


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(……遅かったのか)


バイトスの言葉が、脳裏をよぎる。


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「姉ちゃんに……何したの……?」


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声。


振り向く。


弟がいた。


怯えながら。


だが、その目には——確かな憎しみが宿っている。


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「姉ちゃん……お前のこと、ずっと待ってたんだぞ……」


震える声。


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「それなのに……!」


もう一人の弟が叫ぶ。


涙を流しながら。


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「返せよ……!」


「姉ちゃんを返せよ!!」


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膝をつく。


その手は——


血に染まっていた。


爪は剥がれ。


それでも。


掴もうとした痕。


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(……登ろうとしたのか)


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「お前さえいなければ……!」


言葉が、突き刺さる。


アデスは——何も言わない。


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言葉に意味はない。


すでに、理解している。


すべては——


自分が引き起こしたことだと。


---


アデスは、塔へ向かう。


根元に立ち、手をかざす。


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死を与える。


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だが——


何も、起きない。


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「……届かない……?」


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自ら生み出した永遠によって“死”が。


拒絶されている。


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「バイトス……」


静かに、呟く。


---


「我々は……いや……」


一瞬の間。


「……私が、か」


---


訂正する。


---


「取り返しのつかないことを、してしまったのかもしれないな……」


---


沈黙。


---


塔はなおも伸び続ける。


アデスは、見上げる。


---


最上階。


その先に——セポネがいる。


---


「……」


一歩、踏み出す。


登るしかなかった。


---


例え——


もう、手遅れだとしても。

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