不運に巻き込まれやすい知性に富んだ異端児主人公が、期待どおり不運に飲まれて展開していく物語は、前半から特大のスケールで描かれていきます。
科学研究所、国際テロ組織、ユートピアの島……
天才の出現に世界が慌ただしく騒ぐ中、妙に冷静で気怠そうな主人公。
その妹やのんびり屋の母親の様子とのギャップもおもしろく、好印象を抱えながら読み進めていました。
知性的天才を描くには相応の知識が求められるものですが、それを見事に描き切る作者のストレージ(引き出し)の広さは高性能のパソコン級。
難解さは手の込んだユーモアとしても読めるし、なにより登場人物の造形が実に秀逸で、天才画家が洗い忘れた鮮やかなパレットを眺めているかのよう。
個人的には科学的なものや超常的世界を好むこともあり、読みながらまるで良質なシナリオの映画やハイクオリティのアニメを観ているかのような心地がしたものです。
まだすべてを拝読してないものの、魅力は本編を読んで体感するのが最もしびれて合理的。
どうぞ豊かな知性の森をお楽しみください。