百点満点の高校生活を送っていた神央累は、高校3年のクリスマスに突然世界の滅びを目の当たりにする。そして気が付けば真っ白な謎の空間でテレビ型の謎の存在から【お前がスパダリになれなかったせいで世界は滅びました。あーあ】と理不尽な宣告を受け、高校生活をもう一度一からやり直すことに。
スパダリになって世界を破滅から救えというとんでもない無茶ぶりだが、本作のすごいところは、この無茶ぶりに負けないぐらい累の性格が終わっていることだ。
なにせこの男、スパダリになるための努力も生活の改善も一切せず、不毛な3年間のループを10回以上繰り返す。なぜなら彼は自分が努力なんかしなくても、すでに完全無欠の人間だと思い込んでいるから! その上、3年間を繰り返すことをまったく苦にしない強い精神力の持ち主でもある。わかりやすく言うならば異常者である。
しかし、このままだと永遠にループが終わらないので、さすがの累も多少は折れてスパダリになるための努力をしながら、世界が破滅に至った原因を調べることに。その過程でも異常な自信家っぷりを披露して、周囲の人間や救う対象であるはずのヒロインですら平然と見下していくなど、要所要所で累のヤバさがきらりと光る。これぐらいの人間じゃなければスパダリにはなれないのかもしれない……。
スパダリにならなきゃ世界が滅ぶという理不尽すぎる設定に、アクの強すぎる主人公を投入することで設定の理不尽さが気にならなくなるという、凄い形でバランスが取れた作品。変人タイプの主人公が好きな人は是非ご一読を。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)