第6話・あくまでも同盟
しばらく
「待たせたね」と二はまた彼女の椅子に座った。「話の続きをしよっか」
「ああ」俺は足を組んだ。「お前の動機は一旦信じるとしよう。俺が聞きたいのは、お前は何ができるのか、ということだ」
二は体を少し、俺の方に乗り出した。
「私は千濫氏本家の娘だよ?その気になれば色んなことができる。問題は父親に止められないように、そして勘付かれないように、どう振る舞うか。それだけ」
「具体的には何ができるんだ」
「例えば、私はこの連合国の豪族の勢力図も頭に入ってるし、他の豪族に多少の伝手もある。情報量だけならこの連合国で一番、二番を争える」
「弱いな」
期待値が上がりすぎていたことを後悔する。具体的な行動が挙げられていない。
所詮はただの家出娘か。
「そんなこと言わないでよ。これでも君にとってはかなりの有用な人材でしょ?今の君にはなんの味方もいないし、情報もないんだから」
「それは一理あるが」
二は腕を組んでふんぞり返った。
「何よりも、私には王国民を解放できる自信がある。自信というのは大事だ」
俺は疑いの目で二のことを見た。
この女を信用する根拠は、正直、薄い。言っていることも適当に聞こえる。
それに。
人の本性は目に現れると言う。
彼女の目は暗く、深い。感情が読み取りづらい。何を考えているのかがよくわからない。
「ただ、解放した後、王国民をどうするべきかはわからない。そこからは君に任せる」と二は言った。「傘下に入れとは言わない。私も君の力が欲しい。だから、これはあくまでも同盟なんだ」
俺は苦笑した。「俺たち王国民をお前の父親への嫌がらせのために利用するってことか?」
二は躊躇せずに俺の言葉を肯定した。「そうだよ」
はっとまた笑ってしまう。もしかしたら、ただただ正直なだけなのか?
二はそんな俺を見て満足げに頷いた。「とにかく、えっと、名前、ひこ……」
「
「変な名前」
二の発言に初と終が頷いている。人の名前に対して失礼な奴らだ。
「お前らの名前の方が変だろ。二とか初とか」
「文化の違いってやつだね」二は肩をすくめた。「とにかく、飛虎真」
久しぶりに名前を呼ばれた。不思議な感覚に陥っている俺に気づかず、二は言った。
「私と同盟を結んでくれれば、私は王国民の解放に向けて私の全てを費やすことを約束する」彼女は右手を差し出した。「どうする?」
俺は二の目をまっすぐ見つめた。彼女の瞳は揺らがない。
正直、信頼できない。というか、信頼する根拠が足りない。ずっとフラフラとふざけた様子なのも頼りない。
だが今の俺には他に選択肢がないのも事実だ。
ならば、同盟を結ぶと見せかけてこの女を利用すれば良い。そうするには格好の相手だ。
俺は右手を差し出し返した。
「乗ろう」
二はニヤリと笑った。
俺たちは握手を交わす。
こうして、千濫氏領の森の中のボロい小屋で、王国民解放戦線が誕生した。
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