大阪を舞台に、独自の美学を持つ殺人鬼シオンと絶望した少女リナの倒錯的な関係を描くサスペンスだ。特筆すべきは「赤」を基調とした色彩表現や、鉄と消毒液の匂いといった感覚的な描写の美しさである。救済としての死、世界の「ノイズ」の調律という歪な哲学が、破滅へと向かう二人の逃避行に耽美な彩りを与えている。冷徹な殺人鬼が少女の愛着という「不純物」に揺れる心理描写も見所となっている。耽美派作品、ノワール、重厚な心理描写を好む読者におすすめできる。