この作品は、いくつかの理由から読むのが難しい。しかし、だからといって、私がその作品を楽しめなかったというわけではない。全く逆だ。
少女たちの苦悩の描写。共感が思わぬ結果を招く描写。外部からの視点による認識。
物語は最初の章から結末をネタバレしている。しかし、これは悪いことではない。なぜなら、その旅自体が魅力的だからだ。そして、この物語はヤンデレ恋愛でありながら、ある一点において非常に優れている。
それは、カウンセラー(主人公)、職業安定所職員(物語には登場しない)、サラリーマン(物語には登場しない)、小売店員(物語には登場しない)など、話を聞く側の精神状態が、他人の話を聞くことによって変化していく様子を描いている点だ。
話を聞く側の視点を少しでも理解したいなら、ぜひ読んでみてほしい。
「恋愛ゲーム」「NPC転生」「ヒロインが依存」
このタイトルから想像するのは、
ヒロインを救ってヤンデレ化→ハーレム展開……そんな物語でしょう。
しかし実際に読んでみると、本作の本質はそこではありません。
むしろこれは心理カウンセリングを軸にした物語です。
主人公は前世カウンセラー。
原作ゲームでは軽く流されていたヒロインたちの心の問題に、本物のカウンセリングで真正面から向き合っていきます。
ゲームの「選択肢会話」では決して救えない心。
それを理解し、寄り添い、言葉を重ねていく。
タイトルの印象とはまったく違う、真面目で心理描写の重い物語。
こういうタイプの作品が好きな人には、かなり刺さると思います。
作家さんがカウンセラーの資格や、そっち側の知識があるのかは分かりませんが、
実際にカウンセラーがやりそうな、そしてその個人が悩みそうな描写がちゃんと入っているように見えます。
ヒロインたちもそれぞれ違くて、
どうするのがいいのかベストを選べない(選べられない)状況に追い込まれることや、
何でヒロインが主人公に惹かれるのかも丁寧に、そして論理的に書いています。
他のラブコメやハーレムものみたいに気軽に読める小説ではないと個人的には思いますが、(爽快な展開や、快適な進捗などがない)
そういった人との関係性や、心理描写が好きな人ならすごく楽しめると思います。