主人公は、幼馴染の彩と一緒に歩いていた際、頭上から落ちてきたサボテンの植木鉢が「スローモーション」に見えるという不思議な体験をします。
間一髪で彩をかばうことに成功したものの、病院で告げられたのは「時間知覚乖離症候群」という聞き慣れない奇病の診断でした。
雨粒が作る無数のミルククラウンが鮮明に見えたり、意識だけが先行してしまったりと、自身の体感時間と現実の時間がズレてしまう少し不思議な日常が幕を開けます。
本作の最大の魅力は、この「時間が引き伸ばされる感覚」の非常に鮮明で映画的な描写です!
ゆっくりと落ちてくる素焼きの植木鉢や、地面で飛び散る破片など、主人公の目にだけ映る特殊な世界の描写が美しく、たった数行で一気に物語へと引き込まれます。
また、ひどく心配して病院までついてきてくれる幼馴染の彩の可愛らしさと、タイトルで示唆されている「転校生」が、今後主人公の不規則な時間にどう関わってくるのかワクワクが止まりません。
「奇病」という少しSFチックなスパイスが効いた、瑞々しくも繊細な青春ストーリーを楽しみたい方に、全力でおすすめしたいショート作品です!
意図せずに周りがスローになる現象に悩まされる僕。
動きが遅くなり、声が低くなり、表情が凍りつく。
周りは僕についていけないと離れていく。
一緒に同じ時を過ごせない苦しみを、誰も理解出来ない。
……そう思っていたのに。
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時間の流れがスローになる。
意図的に使えたら便利な技能も、制御できないとここまで不便になるとは。
恋愛模様もさることながら、前提の説明が巧みだと感じられた。
ランダムに発生する現象のために、常に後手に回らざるを得ない主人公の「僕」。
不憫ではあるものの、彼の振る舞いが最後にスローモーションを引き起こすという構図が、切なくも美しい。