「三人称視点で」と地の文に入っているのが少々のメタ要素となり、ストーリーの味わいを深くしている。
こういうパターンは珍しいと思う。
人称を上手く使いこなしている、というのが最初の印象だった。
そして、文章に読ませる力がある。
自分のことで恐縮だが、私は少女だった頃、無意識に自分を俯瞰することがあった。
実体の少し上にふわふわ浮いて自分の体を眺めるという感覚で、特に難解な文章を読んでいる時や、面白い小説に没頭している時が多かった。
そのことを、読んでいて鮮明に思い出した。
おそらく主人公の心情は十代の感受性豊かな時期に誰でも感じることなのだろう。
それを余さず言語化しているのが素晴らしい。
するすると三人称から一人称へ移動していく少女が見る夢は――
夢と現実の境目がもたらしたものは何だったのか。
その答えは作品内で確かめてほしい。