ピアノの音色、お味噌汁の出汁の味、そして算数のノート。
「普通は逆」と言われるほど大人びた妹と、感覚で世界を捉える姉。父の不在という余白の中で、母の優しい眼差しに見守られながら、二人は言葉にできない「絆の理論」を紡いでいきます。妹が導き出した難解な数式を、姉が「感性」という日常の体温で包み込み、平熱の家族の風景へと還元していく過程が、この上なく美しく感じられました。
ポスト・アポカリプスを夢想する尖った知性と、お風呂の背中を洗う洗わないでむくれる微笑ましい日常。その絶妙な均衡を描いた、知的で瑞々しい家族の物語です。