「迷っている」と「道に迷った」は違う、とウサギさんが言う。その一言で、この物語が何を書こうとしているかがわかる。主人公は送れないメッセージを抱えて、宛先のないまま歩いている。立ち止まると怖いから歩く。その逃避の正直さが、冒頭から淡々と、しかし確かに伝わってくる。「何度、書き直しましたか」という問いの置き方が特によかった。直接聞かない。「さあ、何でしょう」と引いてみせる。それが押しつけにならず、主人公が自分で気づくための間になっている。送れた、という四文字の着地が静かで好きです。