完璧な優等生を演じる少女・凛と、美大志望の少年・湊が、教室の「三十六番目の席」という死角で孤独を分かち合う姿を描く。夕闇や冬の光といった繊細な情景描写が、二人のもどかしい距離感を美しく引き立てている。机の裏に刻んだイニシャルという「誰にも見つからない永遠」が、数年後の画廊での再会へと繋がる構成が非常にドラマチックだ。静謐な文体で綴られる、再生と希望の物語である。繊細な青春小説や、情緒溢れる再会譚を好む読者におすすめできる。