魔王によって世界が脅かされていた時代が終わり、魔法が人々にとって当たり前の世界になった。
そんな世界に生きる一人の美しい少女、エトワール=フルール=デッドエンドは魔法が嫌いだった。それは呪文の内容をただ唱えるだけで、火をつけることが、怪我を治す事ができるから。
そんな彼女は、クラウド=キッドナッパーから『選定の剣』という伝説の聖剣について知らされ、その依頼を受けることになったのだが——といったお話です。
凄く面白かったです。ミステリの内容を詳しく伝えることはネタバレになるので、具体的に何かを言うことは難しいのですが、異世界という世界観やミステリの謎解きが上手に混ぜられていて、読んでいてとてもワクワクしました。
ミステリーというジャンルなので、当たり前のことかもしれませんが、伏線が作中内で綺麗に散りばめられています。物語の構成が非常に上手いため、私は物語の真相を、答え合わせの瞬間まで全く解き明かすことができませんでした。
トリックもそうですが、登場人物の心情や『言葉一つ一つ』にちゃんとした意味が含められていると思いました。
作中の文字を一つずつ、しっかりと気をつけながら読んでほしいです。
ぜひ、ぜひご一読ください!!!
有史以前から一度も引き抜かれたことがないという、伝説の『選定の剣』。これを引き抜くことが許されるのは選ばれし勇者のみと言い伝えられてきた。
そんな中、『選定の剣』に体を貫かれた殺人が発生。犯人は選ばれし勇者なのか。それとも剣を抜かずして被害者の体を貫かせた不可能犯罪なのか――。
異世界ファンタジーの世界観とミステリの謎解きが見事に融合しており、唸らされました。暗闇坂様らしいダイナミックな真相に思わずニヤリとしてしまいます。
真相を仄めかす伏線も複数配置されており、ラストの納得感を演出させることに成功しています。
また、登場するキャラクターもシリーズ化してほしいくらい魅力的です。特に探偵役のエトワールは「大の魔法嫌い」で、世界に喧嘩を売ったような性格の持ち主。やっぱり名探偵はこうでなくっちゃ。
異世界ものは「何でもあり」になりがちで、ミステリとの掛け合わせが難しい一面もあります。しかしながら本作は、これら二つのマッチングのお手本ともいうべき作品であると感じました。
異世界ファンタジーは好きだけどミステリにはあんま興味ないよ~という方にもオススメの一作です!
皆さんも一度はなんらかのファンタジー作品で見たことかあるのではないでしょうか。
地面に刺さっている勇者しか抜けない伝説の剣を。
これはそれを題材にした異世界ミステリー作品です。
この作品の世界ではそれは『選定の剣』と呼ばれていて、錬金術師のエトワールとクラウドがそれの調査をするためにヨル王国ニブル領というところに行きます。
そこで、二人は奇妙な事件に巻き込まれます。
ニブル領の領主オスカーが、地面に突き刺さった剣に腹を貫かれていたのです!
いったいなんでこんなことになっているのか?
そして誰がこんなことをしたのか?
真相は科学的な説明がしっかりとされていて納得できるものでしたし、異世界ならではの謎でトリックに魔法も関わっていて、異世界ミステリーとしてすごくよくできた作品でした。めっちゃおすすめです!
ファンタジーの世界にある「伝承」。それは時に、人の思考を鈍らせる。
本作の世界には「アーティファクト」と呼ばれる神秘の道具が存在している。
それの使用者に認められた者は多大な力を有し、どんな罪も帳消しになるような権力も与えられるという。
迷いの森の中にある「選定の剣」と呼ばれる品。入る者を迷わせる不思議な森の中には、誰も抜くことのできない剣があるという。
しかし、その剣によって人が刺し殺される事件が発生……!!
犯人は一体誰か。そして、その者は本当に剣に選ばれた存在だったのか。
その後の謎解きがとっても鮮やかでした。用意された「道具立て」の一つ一つが別の意味を持つようになり、思わぬ答えに辿り着いていく。
終盤で明かされる「単語」も改めて探してみるとニヤリとさせられるように。
ファンタジーの世界観ならではの「意識の盲点」をついたミステリー。とても楽しませていただきました。