終末もの、食料を漁る、音を立てたら死ぬ——ここまでは知ってる世界だった。
壁の向こうからノックが聞こえるまでは。
コンコン。「中にいませんか?」とでも確認するかのようなノック。怪物が「礼儀正しい」ことが、こんなに怖いとは思わなかった。暴力で壁をぶち破る化け物なら対処できる。でも、ノックする化け物には対処法がない。こっちの理性が混乱する。
左腕の「Ⅻ」、五年前に一人だけ襲われなかった青い髪の少女、そして守るべき妹。まだ種が蒔かれただけなのに、回収が怖い。「何度やり直しても変えられなかった」の一文が、この主人公がすでに何回も地獄を見てきたことを静かに突きつけてくる。
読んでる間、ずっと息を止めてた。