王道のビルドゥングスロマンをなぞりながら、最後の瞬間にタイトルの伏線を回収する手腕が見事です。警備隊の兄貴分、病に伏す兄を想う幼馴染、不気味なカルト教団。完璧な「熱い冒険譚」の舞台装置が整えられていたからこそ、教祖が暴いたカイルの罪の「矮小すぎる破壊力」が際立っています。読者の意識を「世界の危機」に向けさせておいて、「個人の尊厳死」に着地させる落差が天才的です。