店主と遺失物たちの、ユーモアのあるやり取りが秀逸で、どの回も楽しんで読むことができます。お話は基本、ほのぼのとした内容が多いですが、時にシリアス&感動的な要素も挟まり、最後まで飽きることがありません。確かな強さを持つ店主の謎めいた過去も、読者をひきつける絶妙なスパイスとなっています。全体の構成がよく練られた、完成度の高い作品だと思います。
この作品のいちばん良いところは、ダンジョンという危険な場所の中に、ちゃんと「帰れる場所」を作れていることです。落とし物が声を持ち、店主がそれを聞き、持ち主のもとへ返す。その単純な行為が毎回きちんと効いていて、店に流れる珈琲の湯気や会話の温度まで含めて、安心感が作品の魅力になっています。やさしいだけでなく、そのやさしさに仕事としての筋が通っている。そこが本当に強いです。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(217文字)
遺失物センターを舞台とした小説です。そこに届いた様々なる「もの」の声を聞き、落とし主に返す。大切な役割です。ダンジョンを進むばかりがダンジョンストーリーとは限りません。時に立ち止まり「もの」に注意を払う。現実の人生にも当てはまるような話であると思いました。
ダンジョンものの中でも「遺失物センター」という切り口が新鮮。落とし物にまつわる人の事情や物語が垣間見える構成が魅力で、戦闘とは違う角度からダンジョン世界を楽しめます。物に宿る思いや背景が少しずつ見えてくる展開が心地よく、世界観に奥行きを感じました。優しい余韻のある、ユニークなダンジョンファンタジーです。
異世界ものにはいろんな設定があるものですが、やはりこの作品の魅力はダンジョンの遺失物センター。落とし物の声が聞こえるという発想は、日常生活の自分の落とし物にかえりみたくなるような面白みを感じました。まさにページターナーという言葉がぴったりな物語で、次を読みたい衝動に駆られますよ。様々な工夫と仕掛けに出会えますので、退屈する暇もありません。とても広がりが期待できる発想勝ちの作品です。
今までに異世界ファンタジーでダンジョンに潜りトコトン戦ったりチートで無双したりダンジョンマスターだったりというのはありましたが確かにダンジョンで物を落とした場合はどうなるのかということは私なりに疑問だったこの当たりは実はダンジョン吸収してしまうとか耐久力0で消失するとかこういったことが起きていたのだろうそれを遺失物センターとしてドラマがあるという点は面白い視点でした続きが気になりました!
一話一話が個別のストーリーになっており。全体的にまるでアニメを見ているかのような感覚になります。そして「あ、なるほど」と思わせる謎や不線なども巧妙にハリめぐせれており、素晴らしい作品です。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(372文字)
そこはダンジョンで無くしたものが集まる遺失物センター。この時点で、もうワクワクしちゃいますよね。そして遺失物たちと意思疎通ができる店主と店主の無双感。連作短編ですので、一つのお話が短くまとめられており、休み休み読んでも楽しめます!おすすめ!
落とし物の“声”が聞こえるという設定が唯一無二で、読み始めた瞬間に物語へ引き込まれる。濃厚な地の文が世界を立ち上げ、静かな余韻と温かい救済が胸に残る。忘れられたモノたちの想いが丁寧に描かれ、最後まで優しさに包まれた読後感を味わえる。
落とし物の「声」が聞こえるという、ユニークで読者らを惹きつける設定。ソレに興味を持ってページを開くと、思わず最後まで一気読み。地の文が濃厚で、物語の世界に放り込まれたかの様な感覚に包まれます。皆さんも是非とも読んで下さい。