「桜井の別れ」を“別れなかった”物語として再構築し、忠義と家族愛の間で揺れる楠木正成の選択を描く。勅命に背き、死を選ばず生きて責任を果たすという新たな英雄像が、軽妙な会話と重厚な覚悟で鮮やかに浮かび上がる。歴史の定型を崩しながらも、静かな感動と余韻を残す。
かなり面白かったです。核になっているのは、「桜井の別れ」という悲劇の名場面を壊すこと自体が冒涜ではなく、**“死なずに責任を引き受ける方がもっと重い”**という再解釈になっている点です。冒頭の「――しょうもな。」で一気に空気をひっくり返しつつ、直後に「勝てない戦がある」「勅命に背く実感が胃を絞る」と続くので、単なるギャグ改変に落ちていません。軽口と胆力が同時に立っています。