この作品を読み終えたあと、私の胸に残ったのは、一つの問いでした。
人は、記憶だけで「その人」になるのでしょうか。
同じ姿、同じ声、同じ面影。
それだけでは埋められない距離があるからこそ、悠真は苦しみ、迷い、何度も立ち止まります。
けれど物語を読み進めるうちに気付かされます。
人を「その人」たらしめるのは、過去の記憶だけではなく、共に笑い、傷つき、積み重ねてきた時間そのものなのだと。
時計をモチーフにした各話のタイトルも、その想いを静かに積み重ねていき、最後には作品名の意味が胸へすっと落ちてきました。
愛とは何か。
絆とは何か。
そして「今、目の前にいる相手」を大切にするとはどういうことなのか。
読み終えたあと、自分にとって大切な人の顔が自然と思い浮かぶ、温かなSFラブストーリーです。