工場で作業員として働いていたレントは、ある日、異世界へ転移してしまう。田舎の村のゴミ捨て場で目覚めた彼は、廃棄されたゴミの「再利用率」が分かる不思議な能力を得ていた。前世で培った技術を活かし、修理屋として働き始めたレントの評判はやがて村中に広がり、次第に周囲の暮らしを変えていく……。
動画サイトではサビついた道具を綺麗に直すレストア動画が人気だったりします。そんなSDGsに通じる精神で異世界を変えていくという物語の切り口に、時代性を感じました。
レントのもとに持ち込まれるのは、刃の欠けた包丁や折れ曲がった農具など、どこにでもある日用品ばかり。しかし貧しい農村では、壊れた道具が再び使えるようになるだけでも生活は大きく改善する。毎日、叩き、削り、整える地道な作業を繰り返し、死んでいた道具が、再び息を吹き返し、人々の生活に戻っていく光景に、どこか素朴な癒やしを感じます。
口下手で不器用ながら、ボロボロの道具を見捨てられないレントの人柄にも好感が持てます。次第に評判が村を越え、ついには街の職人たちでさえ「修理不可能」と匙を投げた難物が持ち込まれる……。捨てられた物に新たな命を吹き込む彼の仕事が、どのように世界を変えていくのか、続編に期待します。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)