遠藤二三夫(ふみお)の人生は、いつだって「書き損じ」だらけだった。
運動会では靴紐が解け、大事な試験では一行ずれる。最期もまた、子猫と間違えて「ぬいぐるみ」を助けてトラックに撥ねられるという、絵に描いたような首尾の悪さ。
そんな彼が神様に連れて行かれたのは、異世界「ニッポンポン」。
そこは、かつての日本に似ていながらも、人々の「情緒」や「遊び」が失われつつある、完璧主義の影が忍び寄る世界だった。
「あんたを『二三夫』といったか。今日から俺たちが、お前の歪んだ人生にアイロンをかけてやる」
待っていたのは、着流し姿の頑固なアイロン職人・鹿野師匠と、甘い飴で心を溶かす割烹着の聖母・喜古師匠。
不器用な相棒・小武と共に、二三夫は「徳を積む」ための修行に励む。しかし、その「徳」とは成功することではなく、誰かのために盛大に失敗し、恥をかくことだった――。
ハッカ飴の香りと、蒸気の中に宿る職人の魂。
これは、完璧になれないすべての「書き損じ」たちに贈る、泥臭くも鮮やかな再生の物語。
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