閑話3 官報 / 1557年

 街の中央に位置する教会の前に作られた掲示板。

 そこには官報が貼られ、それを見に人々が集まっていた。

 ちなみに、この世界の識字率は日本の江戸期並みには高水準である。


 ――「湿地の跡地」領主・アルカイナ・秀夫よりのお知らせ――


 暫く封鎖が続いていた東行き大街道であるが、国境付近に出没していた盗賊団「黒鹿毛の大角」並びに「夜桜団」は、我が秀夫騎士団並びに冒険者ギルドの英雄たちの働きにより殲滅することができた。

 ここに特に勲功甚だしい騎士並びに冒険者を讃え、顕彰するものとする。



 1番勲功 

 秀夫騎士団 2番隊隊長 ジョセフィーヌ・秀夫

 1番槍の勲功と「夜桜団」副団長首級の褒美として、

 本人希望により【クロス諸島マリウス島での2週間の休暇】と、【金5,000,000G】を与える


 2番勲功

 冒険者ギルド所属 「陽気猫チーム」

 両盗賊団のアジト発見の褒美として

 チームの希望により【旭日皇国産最高級マタタビ酒・黒ネコの丹後】12本と、【金4,000,000G】を与える


 3番勲功

 秀夫騎士団 2番隊副長 エイジ

「黒鹿毛の大角」並びに「夜桜団」の両首領討伐の褒美として

(この部分には官報の上から紙がはられ、女性の字で訂正されている。紙には領主の印があり訂正は正当なもののようだが)

 エイジ君にはご褒美として恋人ジョセフィーヌと共にマリウス島でのバカンスを厳命する。

 行かなかったら厳罰に処するので逃げないように。またいつもみたいに他の女子とフラグ立たせたら、殺す。

 と、【金6,000,000G】を与える


 ザワザワザワザワ

 ドヨドヨドヨドヨ

 高札を見に来た庶民たちは一様に動揺を隠せなかった。

 基幹街道が再度通行できるようになり、街の活気も今以上に戻ってくるだろう。

 ありがたい限りであるが。


 それはさておき。

 市民たちは勲功顕彰の項を見て微妙な顔をしていた。

 会話を一部紹介する。

『夜桜団って、女子供ばっかり狙う卑劣な連中だったらしいぜ。いやらしい』

『黒鹿毛の大角は、元々滅んだ国の正規騎士団だったとかいう噂だ。そんな連中だから国が滅びちまうんだろうな』

『なぁ、おい。最後の3番勲功のは褒美? 褒美なのか?それに首級上げて3番とか』

『ほうび……じゃね? 秋の祝祭でお見かけしたときのお嬢様のあの肉付きはそそるものはあったけどな』

『うむ。ジョセフィーヌ様は領主令嬢だし美人ではあるな。彼女とリゾート観光地のマリウスでとかってスッゲー褒美じゃね?』

『でも、この3番勲功の修正書いたのって?』

『多分、ジョセフィーヌお嬢様じゃね?“恋人の”ジョセフィーヌって、言ってるの本人様だけって有名な話じゃん』

『ねえ!ねえ!エイジ様って、あの黒髪の旭日皇国方面の出身とかって美男子だよね?』

『あー、あのエキゾチックな美形な』

『え、彼女? ジョセフィーヌ様とエイジ様って付き合ってるの?』

『ウソ! エイジ様が!?』

『ジョセフィーヌ様が一方的にって話聞いたけど』

『なんだ。公開ノロケか?』

『2番隊ってエイジ氏以外全部女の子だったはずよ』

『うわ!? ハーレム?』

『むしろ本人朴念仁の、隊全員で女同士の熾烈な争いがって噂だが』

『うわ、それ、怖いやつじゃね?』

『噂ではかなり』

『なーんかエイジ様悪くないのにかわいそう。私がお救いしなきゃ』

『爆死しろ、あの野郎! 糞! 糞! 出自も家柄もわからんぽっと出のカスがぁ! エイジの奴がいなければ俺が予定通りあの隊に所属してて、今頃お嬢様とバカンスに!! そしてあーんなことや、こんなことを!!! 糞! 糞! あいつ絶対騎士団を追放してやる! 』

『なにあれ? 』

『ねーねー、ママ、あの騎士のおじちゃん何で泣いてるの?』

『しっ! エマリーちゃん、見ちゃだめです。ほっときなさい』

『はーい、ママ。きっと「ザマァ」される人なんだね』

『でも、領主様の印が修正に押してあるってことは公認なんだろうな』

『秀夫家当主も娘には弱いってか』

『まぁ、お幸せにってヤツやんすよね』

『んだ。んだ』


 そんな光景が見て取れた。

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