第一章時点の感想、レビューです。
白い光が世界を支配する都市「白夜」。
そこでは怪人や魍魎と呼ばれる存在は絶対悪とされ、人々は「光統院」という組織によって守られている。
工場で働く青年・朔夜は、人には理解されない頭痛や不思議な感覚に苦しみながら、目立たず静かに生きることだけを願っていた。
しかしある日、魍魎による襲撃に遭遇した朔夜は、危険を顧みず子どもを救うために飛び出す。
その行動は子どもの命を救うが、待っていたのは感謝ではなく、光統院による”処刑”だった。
夜や星が存在せず、巨大な光の鉄塔によって都市全体が常に白く照らされている白夜という異常な都市を舞台に、不器用だが優しい主人公や、白夜の統制された価値観に疑問を抱く「反思想の娘」紡を中心に、白夜を管理・防衛する組織『光統院』と、そこに所属する能力者の力と思惑が交錯するダークファンタジー。
まず惹かれたのは、このどこか無機質でディストピア的な世界設計だ。
そして、この謎に思いを馳せると、複雑なパズルのピースの端々に『白夜』、『光統院』、『光の鉄塔』など、私の中の中学二年生を呼び戻す単語を紛れ込ませてくれる。
主人公やヒロインですら第一章時点ではまだ謎めいた存在だが、これから玉ねぎを剥くかのように、この世界に満ちた謎が少しずつ解き明かされていくと考えると、とても楽しみだ。
何より、この緻密で謎に満ちた世界観を彩る美しく静謐な語り口が、「夢の中にいる」かのような素晴らしい読書体験を与えてくれて、とても新鮮だった。
この作品は、異能バトルの形を取りながらも、その奥に「正義とは何か」「排除される側はどう生きるのか」という重いテーマを置いている作品だと思います。
序盤から、白い光に支配された世界の息苦しさが丁寧に描かれており、主人公の朔夜がただ弱いだけではなく、周囲に合わせて生きることで自分を守ってきた人物なのだと伝わってきました。
特に印象的だったのは、逃げ遅れた子供を助けるために朔夜が動く場面です。普通ならそこで「勇気ある行動」として描かれそうなところを、この作品では、助けた側であるはずの朔夜が逆に危険な存在として扱われます。
この描き方によって、単なる怪人退治や異能バトルではなく、社会が何を正義と呼び、何を異物として排除するのか、というテーマが強く浮かび上がっているように感じました。
まだ序盤までですが、かなりこだわりのあるテーマが転がっていそうなので、そこに注目して読むと、より深く楽しめる作品だと思います。
まだ序盤までの拝読ですが、残りのEPも深く追いかけたいと思います。