第60話 大政所、倒れる。生死の境で語られる豊臣家の血脈

三人が穏やかに茶を飲んでいたのですが、いきなり、大政所が苦しみ始めました。

「どうしたんじゃ、仲」

「む…胸が…」

「竹阿弥さん、動かさないで」

万吉が処置をしていると、城の医師がやってきました。間もなく秀吉もやってきました。、

「おっかあ、倒れたと、聞いたが」

「たいしたことねえ。まあ、もう長い事生きてきたんじゃ秀長と旭が呼んどる」

「何を言っとるんじゃ。秀長も旭も逝ってしまって、おっかあまでわしを置いて逝かんでくれ」

「だから、お前は阿呆じゃというんだ。人間は誰でもいつか死ぬんじゃ。それが早いか遅いかの違いじや」


「万吉さん、わしらは席を外そうか」

「万吉さん、ありがとうな」

「万福丸殿が側にいてくれてよかった。医師たちもその処置に感心しとった。危ないところじゃったと」


万吉と竹阿弥が出て行って、大政所と秀吉の二人になりました。

「お前はなんで、万吉さんのことを万福丸殿なんて呼ぶんじゃ?」

「まあ…隠さなきゃいかんことでもないが、あの男は淀たちの母の違う異母兄じゃ」

「異母兄?」

「昔、信長様に滅ぼされた浅井家の嫡男じゃ」

「ほうか。どうりで、品があると思った」

「淀の異母兄なのだから取り立ててやろうと思っていたが、あの男は何の野心もなくての、薬師として生きていくと言っておった」


「そうか…わしはもう長くないじゃろ、だが、わしが亡くなった後、お前と竹阿弥が心配じゃ。なんで、そんなに竹阿弥を嫌うんじゃ」

「わしが嫌うとるんじゃない。あいつが嫌っとるんじゃ」

「父親にむかってあいつだなんて…」

「わしの父親は弥右衛門じゃ」


「さっき、弥右衛門の夢を見た。相変わらず夢ばっかり語っとった。いつか一国一城の主になってわしを北の方にしてやると言っとった。わしは、そんな弥右衛門が好きじゃった。だから、言えなんだ。戦になんぞ行くなと。あのとき、泣いてすがれば行かないでくれたんじゃろうか。腹にお前もおったしな」

「けど、わしの側にいてくれたのは竹阿弥じゃ…わしが亡うなっても、面倒はみてやってくれ」

「わかった、わかったから、だから亡つなるなんて言わんでくれ」


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