父のおもい

第7話 浅井三姉妹、それぞれの縁談と万吉

北ノ庄城から帰ってきた万吉は元の日常を、過ごしていましたが、しょっちゅうやってくるのは片桐且元でした。

「助作、お前、暇なのか」

「まあ、そう言うなって。小さな頃は助作、助作と後をおいかけてきて、あんなに可愛らしかったのに」

「いつの話をしている。仕事の邪魔だ。もう帰れ」

「茶々様たちのことが気にならんのか」

「息災で暮らしているならいい」

「実はな、江様が佐治与九郎殿に嫁がれることとなった」

「佐治与九郎?確か大野水軍の総帥だな」

「与九郎殿の母君はお方様、お市の方様の姉君だ。江様とはいとこにあたられる。よい縁だと思うが。与九郎殿は文武に優れたお方だと聞いている」

「そうか。だが、なぜ、江なのだ?順番でいえば、一番年上の茶々が嫁ぐのが普通ではないか」

「いや、茶々さまは妹たちの行く末を見届けてからとおっしゃられてな」

「では、初でもよいではないか」

「ああ、初様は京極高次殿に嫁ぐ事になった」

「なんだと。確か、高次殿は明智に味方したため、逃亡して、行方知らずではなかったのか」

「龍子殿の嘆願で、許されて、しかも大名に取り立てられている。世間では高次殿のことを蛍大名などと言っている」

「どういうことだ?確か龍子殿のご夫君の武田元明殿も明智に味方したがため、命を落とされたはずだ。なぜ、龍子殿が……」

「秀吉様が龍子殿の美貌を見染めてな。今では龍子殿は秀吉様の側室だ。寵愛深い龍子様の願いに秀吉様も高次殿をお許しになられたのだ」

「そうだったのか。しかし、それでは龍子殿は人身御供ではないのか」

「そうでもないぞ。秀吉様は女性には優しいからな」

「………女というのはよくわからん。父上とあれほど愛し合っておられた義母上だって柴田殿に心を寄せられた」

「万福丸、いや、万吉も妻を娶ればわかるさ。女というものはなかなかいいもんだぞ」

「とにかく、江も初も、この縁で幸せになってくれればいいが」

「まあ、大丈夫だろ。初様と高次殿は相思相愛だし、江様のお相手の与九郎殿も人物に問題はない」

「初と高次殿が相思相愛?」

「ああ、小谷城にいた頃からな。みな、知っていたぞ」

「………」

「そうか。それでは後は茶々だな」

「ああ、秀吉様とおね様が良い縁がないかと考えられているのだが、なかなか難しくてな。茶々様と釣り合う年頃で、正室もいない武将となるとなかなかいなくてな。なんといっても茶々様は織田の血をひいておられる。秀吉様にすれば主筋にあたられる方だ。自分の子飼いの武将に嫁がせるわけにはいかず、かといって、敵対する武将に嫁がせるなどできるはずがない」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

もし少しでも「続きが気になる」「面白かった」と感じていただけましたら、

★評価やフォローで応援していただけると、嬉しいです。


カクヨムにこちらも投稿しています。

よろしければお読みください。


純愛からブラック、大人の色香まで。一話完結で贈る、毒気ある昔話パロディ

https://kakuyomu.jp/works/822139845084173012

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る