私自身が戦争モノを描いているからだろうか、惹かれて読み始めた。
この作品の魅力として挙げられる点は、荘厳な雰囲気から作り出される『空気感』だろう。
・軍人でありながら、どこか振り回され気味な男『ビンセント』。
・人懐こいが、どこか影のある少女『ルカ』。
この二人の出会いから、仲を深めていくまでの「距離感」の描き方が絶妙で、引き込まれる。また、歓迎されている筈なのに、どこか勘繰ってしまう村人達の様子。何やら腹に一物を抱えていそうな村の医師など、先にも記した通り、この人と人との距離感や空気感が秀逸な作品である。
私も戦争をテーマにした作品を書いている身ではあるが、プロローグ時点で明確なアクション、戦闘が無いにも関わらず、作品全体の質感がよく伝わる作品であり、プロローグだけを見ても、『短編』や『読切』を読んだような読後感がある作品だと評したい。
誠に勝手ながら、『戦争』をテーマに作品を書いている一作者として、本作の今後の展望に期待するばかりである。
幽零