とある少年の日の幼き記憶と月読峠で目撃される不思議な存在が鍵を握る恋物語を彩るのは、古地図が持つ側面の一つと、浮き上がってくる謎の数々。
古地図は貴重な蛇の化石を指し示すこともあれば、宝とは無縁で全くの役に立たないこともある。
宝にも人それぞれが感じる価値に違いがあるように、古地図にもきっと使う人によって価値が変わるものがあるのだと思う。
本作が紡ぎ出す謎の内側には解釈によって変容し得るものと、解釈をすることすら野暮であると思わされるような、確かな想いのかたちが潜んでいる。
キャラ立ちの良さとわかりやさを兼ね備えたセリフ文と、文脈に沿うような気持ちの良い言葉たちに身を任せながら、謎香る恋物語をお楽しみください。
素晴らしい作品をありがとうございました。