サラサラと、暖かなでも少し冷たい風が吹くような心地の良い文章。楓と真雪、それから大人の住職。3人とも多くは語りませんが、3人のキャラ立ちと関係性が素敵でした。一つ一つの章も非常に構成完成度が高く、一度読んだら、もう一度始めから読み返したくなる…。どこに伏線が散りばめられているのかわからないワクワク感を味わいました。人の心にそっと寄り添う物語。真夜中に星空でも眺めながら読みたい作品だなと感じました。まだ読み終わっていない章もあるので、時間があるときに訪れようと思います。
霊が見える主人公が、迷子になった子ども霊と出会うところから始まる。「ママに謝りたい」って言うその子を連れてお母さんを探す流れが、読んでてじわじわくる。楓って花屋の青年が出てきて、霊に対して「どちらの側の方でも同じようにお迎えします」ってさらっと言うシーンがすごく刺さった。こういうセリフ書ける人、信頼できる。お母さんとの対面シーンはかなりしんどいんだけど、そこで主人公がとった行動でちょっと泣いた。
強キャラ揃いの妖怪寺で、霊に寄り添い花を手向ける静かな優しさが心に沁みる。派手な戦いではなく、未練を解きほぐすことで魂を救う姿勢が、深い感動を呼ぶ。伏線の妙と人間ドラマが織りなす、和風ファンタジーの真髄がここにある。
人間ドラマに重点をおいた良質な和風ファンタジーなのだと思う。決して、派手に戦うわけじゃないのが良いんだ。ただ、彷徨える魂に寄り添うという落とし所が良い。叩いて無理矢理成仏させるんじゃなくて、残された未練を何とかしてあげる様を見ていると、本当に心にグッとくるものがあるのだ。また、伏線の回収の仕方も凄く上手。個人的に、第一話に出てきたゲストキャラの正体が凄く意外な所に隠されていたという展開がお気に入りオブお気に入り。まだ始まったばかりだけれど、このレビューを読んだ人は読むべきだ。