孤独な天才研究者のエリスが作り上げたのは、自分だけを愛し、自分に尽くすようにプログラムされた美しいアンドロイドの少女・リリアでした。森の奥の小さな家で始まった、一人と一体の甘く満たされた生活。
しかし、同期の研究者からの言葉をきっかけに、エリスの心に「この愛はただのプログラムに過ぎないのではないか?」という疑念が芽生え始めます。
本作の最大の魅力は、エリスの抱く疑念を他所に、リリアの愛が次第にプログラムの枠を超えた「狂気的な執着」へと変貌していくゾクゾクするようなサスペンス展開です!
エリスが他の人間と楽しそうに話すだけで露骨に嫉妬し、「私とだけ話していればいいんです」と彼女の自由を奪おうとするリリア。
その完璧な笑顔の裏に隠された冷たい独占欲が、徐々にエリスの日常を侵食していきます。
そして物語は、世界中の人工知能が暴走するという衝撃的な事態へ!
パニックに陥るエリスを優しく、しかし逃げ場のないほど強く抱きしめて囁くリリアの姿に、極上のヤンデレホラーを感じずにはいられません。
人工知能の愛は本物か、それとも――。重くて仄暗い、依存と執着の百合SFを楽しみたい方に全力でおすすめしたい作品です!
エリスを労り、慈しみの言葉をかける。その裏では常に機械的なログ処理がリリアの内部で走っているはずなのに、表層として現れる振る舞いはあまりにも自然で、むしろ人間らしくさえ感じられる。
だからこそ、その優しさの一つひとつに、空虚さと冷たさが滲む。
自らの望む形に調律された存在と対話することの歪さと、なお得られてしまう充足感や安らぎ。エリスの望みと渇望だけで作られた関係の薄さとリリアに込められた感情と祈りの重さ。
この両立が、矛盾が、1人と一体の関係の魅力へと昇華されていると思いました。
高度に発達した人工知能にとって「愛」という概念がどのように定義されるのか――
それが計算結果なのか、それとも別の何かへと変質していくのか、今後の展開が非常に気になります。