主人公は霊が見える体質ゆえに周囲と馴染めず、冷めた諦念を抱えて生きる女子高生。
その彼女の『動かない心』と報われぬまま散った少女の『止まった時間』が共鳴していく過程にどこか物悲しくも甘美な情緒が漂っています。
そして一見すると衝撃的な結末に、けれど決して恐怖だけではない奇妙な救済が描かれていて、孤独に苛まれていた二人が、現実の境界を超えて手を取り合う姿は読者に『真の繋がりとは何か』を静かに問いかけているように感じられます。
孤独な魂が交錯する瞬間を、透明感あふれる筆致で描いた幻想的なこの物語は冬から春に向かうこの季節にぴったりの作品です。
このシチュエーション、場面を想像して色々と考えさせられるものがありました。
主人公は電車の中で「一人の少女」の姿を目にする。
彼女は幽霊だった。どこか寂しそうな顔をしているけれど、とても綺麗な少女。
怖いとは思わない。でも、なんだか気になって仕方なくなり、彼女のことをずっと目で追うようになってしまう。
もしも、自分がこんな感じの幽霊を見てしまったらどう思うかな、とついつい想像させられました。
幽霊なのはわかっている。でも、その幽霊の少女が「好みのタイプ」というか、「仲良くなってみたいタイプ」みたいに心を惹かれる存在だったら。
「普段は接点のない他校の女子」に見惚れるように、幽霊の少女に目が行ってしまう感じ。そこでは色々な気持ちが胸の中に渦巻くけれど、その気持ちをどうすればいいかできっとすごく悩んでしまうだろうなあ、と考えさせられました。
そんな風に幽霊の少女が気になってならなくなった主人公が、やがて「とある答え」を見つけ出す。自分自身の悩みにも区切りをつけて一歩前に進める感覚。
切なさとか、どこかホッとする感じとか、静かに胸を揺さぶって来る一作でした。