戸籍制度の盲点を突いた精緻な法務ミステリである。行政書士の角田が、認定死亡と二つの死亡届を持つ男の真相を追う。電算化改製の不備や筆跡の差異といった専門的な視点から、地面師の暗躍や旧家の歪な血縁を炙り出す構成が秀逸だ。冷徹な角田と泥臭い黒田警部のコンビも対照的で魅力的である。専門知識に裏打ちされたリアリズムと、書類の裏に隠された重厚な人間ドラマが物語に圧倒的な説得力を与えている。本格ミステリ愛好家、法務実務や家系制度に関心のある読者におすすめできる。