まず何より、とってもすごいタイトルのエッセイだと感じました。
しかし、単なる自虐にとどまらず、社会との軋轢の中に束の間の安寧があるような、そんな心地がいたしました。
人は演じます。
お決まりの文句で出勤し、定型文を当てはめ、そこに少しアレンジを加え、理想の自分や社会の求める自分に近づける作業を行うのです。
人にもよりますが、これを週5日8時間以上繰り返し、繰り返し、繰り返し……。
日々アップデートを積み重ねながら、そのようにして生きる権利を得ていく方が多いのでしょう。
筆者さんは仮面を付け替えながら生きていきます。日々の業務も休憩時間も、休むことなく仮面を選び続けます。
きっと、器用で不器用な方なのだと思いました。本当の本当に器用な方であれば、この無機質ながらえぐ味のある、とても味わい深いエッセイは生まれてこなかっただろうと、勝手ながら想像しております。
動き続ける外の世界と、止まった日常生活。
絵の具の筆洗いバケツに筆を入れた時のような、様々な色の入り混じった水面を見ている気持ちになりました。
読後は密やかな余韻に包まれました。
このエッセイは、文字通り命を削ってできた作品だと感じております。
筆者さん自身の力で選び取った道が、この先の未来が、幸せであるようにと願うばかりです。