第17話

 なんか、すごい衝撃が体に走ったと思ったら、私は光ひとつない闇の中にいた。本当の暗闇って計り知れない恐怖だ。自分の指先さえも見えなくて、自分がここにいるのかさえ分からなくなる。


 「これが、組織を操っている闇だ、さあ、いくぞ!」


 龍の低い、地を這うような声で戦闘が開始された。


 まず、龍が大きく息を吸い込んで吐き出すと、たくさんの小さな光の粒が散らばって、闇と光のマーブル模様ができた。


「す、すごい」


と思ったら、すぐに光が闇に飲み込まれ、また、真っ暗な闇の中にいた。


「うーん、手ごわいな。本気出すぞ」


 いや、最初から本気出せ!


 さっきより勢いよく息を吸い込み、さっきより大きな光の粒が闇の上に広がった。


「ま、まぶしくて前が見えない」


「心を開け。目で見えるものより多くのものが見えるようになる」


 はあ! またわけわかんないこと言ってるし。


「気を付けろ! 闇のかけらが飛んでくる。大剣を使うんだ」


もう、やけ。なんだかわけわからないけど、大剣を振り回した。


 なんかが、大剣に当たる音が聞こえて、その度に小さな光の玉が闇に浮かび上がる。


 「玉を剣で突け!」


 龍の声に従って玉を突くと、玉から小さな星が出てきて、その星が闇のかけらにぶつかり、かけらが消滅して、光を放つ。


「よし! どんどん闇が消滅してる」


「でも、なんか、こっちの闇深くなってない?」


 戦っているうちに、闇の半分が光になったけど、半分の闇は前より深くなってる気がする。


「光が強いほど抵抗して闇が深くなっていくんだ。でも、諦めずに続ければ必ず光は闇を覆う。こっちはもう大丈夫だ。向こうを全力で攻撃する!。油断するなよ。まだまだ闇のエネルギーが強く残ってるからな。油断すると飲み込まれる」


「いや、今まで全力じゃなかったんかい! だから、最初から全力だせっつーの!」


「私のエネルギーにも限界があるからな。ペース配分が大切じゃ」


「えーい! 御託並べてないで行くよおおおおおおおおおおー!」


 もう、ここまで来て飲み込まれてたまるか! 一気にやっつけてやるううううううううううううっっっっっっっっっっっっっっ!


 もうそっから先はやけになって大剣振り回して、無我夢中だった。


 「危ない!」


 途中闇のかけらが束になって、私を襲ってきたけど、龍が飲み込んで光に変えてくれた。


 「ふーっ、当たってたら大変だったぞ!」


「ありがとうございます」


 社交辞令でお礼言ったらすごいドヤ顔されたよ。龍のドヤ顔ってマジすごいね。ちょっと・・・っていうかだいぶ引く・・・。


 言っちゃ悪いけど、善良な市民をここまで巻き込んでるんだから、これくらいしてもらって当然だと思うけどね。


 だけど、この半分手ごわい。龍の光もすぐ飲み込んじゃうし、かけらもめっちゃ飛んでくる。


 「もう、どうなってるのお?」


 「闇は油汚れみたいなもんでな、日々増えて固まってこびりついて取りにくくなる。だからより強力な光が必要だ」


「いや、それあんたたちがさっさと退治しなかったせいでしょお!」


「いや、面目ない」


「もう、謝ってる暇あったら、もっと強力な光だしなさいよ!」


「もう、これが全力だ」


「もう、情けないわね」


なんて、痴話げんかしてたら、闇がなんかごそごそ動き出した。


「え、え、えっ、な、な、何?」


「ま、まずい、闇の大王が目覚める?」


えっ、闇の大王? 何それ? 聞いてないんですけどお?


 と、私が一生に一度で十分だという動揺という感情を味わっていると、蠢いていた闇の中から真っ黒い龍が出現した。









 



 


 






 














 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る