声に出した言葉より、声にしなかった言葉のほうが、胸に残ることってある気がしませんか?
小さい頃、授業中に友達へ向けて、先生に見つからないように、こっそり口パクで話しかけたことを思い出しました。
声はないのに、なぜかちゃんと伝わる。
それだけで、少し秘密めいていて、とても特別なものに感じられる。
このお話で交わされるのは、
「おそろいだね」
というひと言。
路面電車で通学する女の子と、窓の外を走る男の子。
まだ名前も知らないふたりの、声にならないやり取りが本当に可愛くて、読んでいるこちらまでにこにこしてしまいました。
制服の下のパーカー。
まだ咲ききらない桜。
春を待つ空気の中に、小さなときめきがまぶしく光る短編です。
素敵なお話をありがとうございます。
何度も読み返させていただきます。
主人公の女子高校生は、毎朝路面電車に乗って学校に行く。
土手の桜並木はまだ蕾。
交差点の信号待ちで、いつも隣に止まるママチャリがあった。
自転車に乗っているのは、別の学校の男子生徒。
気になる彼とは、ある共通点があった。
それは「パーカー」。
まだ肌寒いこの時期、制服の下にパーカーを着ていることが二人の共通点。
窓越しに目が合ったとき、彼女はフードを引っ張りながら口パクで言ってみた。
「おそろいだね」
すると彼も。
「おそろいだね」
お題である「路面電車」ならではの、このエピソードがとても可愛いのです。
桜の花のように淡い恋。
春の予感が瑞々しく描かれたアオハル掌編です。
キュン🌸としたい方はぜひ。