第24話 沸く沸く
奇しくも、新入生および、新一年生による対抗戦の最終戦。
会場は、主にAクラスの陣営が盛り上がっていた。
そして、それに応えるかの様に、対戦相手の貴族のペアが手を振っていた。
ずいぶんと余裕の様子、そして、自身に満ち溢れた表情。
それに対して、俺は手汗と震えに悩まされている。
すると、ふと俺の手に何かが触れた。
そして、それがローズさんの手だと気づいた。
「わっ、すごい汗ですねアオさん」
「あっ、すみません、今拭きますから」
手汗を拭おうとしたのだが、それを阻止する様に、ローズさんが手を握った。
「ちょっと、何やってるんですかローズさん?」
「なんだか、いつもよりアオさんのビビビが強く感じます」
ビビビとは、俺の【特異体質】の事を言っているのだろうか?
汗の所為で、より強く相手に伝わっているのかもしれない。
だが、それなら彼女の体に伝わる刺激も、強くなるはず。
そして、こんな俺の手を握ってくれる彼女は、やはり化け物だ。
普通なら、こんな手汗をかいた人の手なんて触りたくないものだ。
それなのに、彼女は手を握り、こうして俺の側にいてくれる。
おまけに笑顔だ。
「ろ、ローズさん、汗を拭きたいのですが」
「もう、戦いが始まります、こうしていた方がいいですよ」
ローズさんは戦いに向けての決意の様なものをチラつかせた。
それは俺よりもはるかに冷静で、頼もしく見えた。
だが、そんな彼女の体に異変を感じた。
それは、ローズさんの体から色とりどりの花弁がポンポンと弾けていたのだ。
それはまるで、【スレンダーローズ】になる前兆の様に思えた。
「ローズ、花が」
「はい、なんだか今日はいつもより早く来そうな感じがしてます」
「来るって、もう一人のローズさんの事ですよね」
「はい・・・・・・あっ!!」
そうして、戦闘開始前にもかかわらず、ローズさんは爆発した。
もちろん、爆発というのは【
そして、現れたのは普段のローズさんよりも細く、どこぞのプリンスの様な姿。
「さぁ行こうアオ、僕達の愛を証明しようじゃないか」
「えぇっ!?」
そう言って、スレンダーローズさんは俺の手を引いた。
だが、周囲の様子がやけに静かな事に気づいた。
目の前にいる対戦相手の貴族ペアも、会場も静まり返っている。
その様子にさすがのスレンダーローズさんもキョトンしていた。
「おや、随分と静かになったな、もしかして僕達に嫉妬しているのかな?」
「い、いやぁ」
ずいぶんとのんきな事を言うスレンダーローズさん。
そして、俺達の背後では「よっしゃー」と叫ぶアエラ先生の声が聞こえた。
どうやら、アエラ先生は、この後の戦いに相当期待しているらしい。
そして、会場は妙な雰囲気に包まれながら、ようやく対戦開始の手前まで来た。
審判を務める数名の先生の一人が、俺達と貴族のペアに目配せした。
そして、開戦の合図である手を上げた。
その瞬間、貴族のペアは真っ向から突っ込んできた。
その様子に少しでも対応しようと思っていると、スレンダーローズさんが俺を抱きしめてきた。
「えっ、ちょっ、何してるんですかっ!?」
「これは愛のダンスだよアオ、僕達の愛をここにいる全員に見せつけてやろうじゃないか」
そう言うとスレンダーローズさんは俺と抱き合う様な形でその場でくるくると回り始めた。
いったい何をしているのだろう。
そう思っていると、ふと、スレンダーローズさんが俺の体を持ち上げた。
いや、持ち上げただけではない、そのまま空中へと投げ上げた。
「うわぁぁぁっ!!」
視界が高くなり、地面との距離が離れゆく中、地上にいるスレンダーローズさんが俺に向かって投げキッスしているのが見えた。
そんなのんきな行動をする彼女の元には、攻撃を仕掛ける貴族のペアが近づいており、それは今にも衝突しそうな近さだった。
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