次はどこへ話が飛んでいくんだろうとずっとワクワクしながら読めました。
交換日記というと、一見、二人だけの小さな世界を想像しそうですが、この作品では酒菜神酒央くんと矢倉美似伊さんの会話から、音楽、創作、AI、家族、コンビニ、そして時空の歪みや異世界へと、アイデアがどんどん展開していきます。
ですが、二人が中心にいるので、不思議と帰ってくる場所があるように感じれます。
神酒央くんと美似伊さんの関係もいいですね。
単純な恋人同士というだけではなく、片方がイメージを言葉にして、片方がそれを形にする。
文章を書き、音楽を作り、面白そうなことがあれば一緒に首を突っ込む。
この二人はライティングBROS.であり、恋人であり、創作の相棒でもあるんですね。
文章そのものの強い個性、大事なポイントです。
英語、漢字、当て字、略語、駄洒落、突然飛び出すツッコミ。名前一つ、言葉一つから連想が始まり、その連想がまた次の物語を連れてくる。普通なら流してしまいそうな言葉に立ち止まる美似伊さんの感性が、作品のエンジンになっているようでしたね。
夕飯や飲み物、クーポンの話をしていたと思ったら、少し前には時空を越えている。この高低差が妙に楽しい。
壮大な出来事に遭遇しても、登場人物たちがちゃんと日常を続けているのもよかったです。
一つ思いついたら、そこからもう一つ。
人物が生まれ、音楽が生まれ、世界が生まれ、ついには扉まで開いてしまう。
整然と一本道を進む物語とは違う楽しみがありました。
二人の交換日記を、これからもこっそり覗かせてもらいたくなる作品でした。