誰そ彼刻の田舎の畦道を一人、歩く男。
突然の不調に慄き…周囲を見渡すと、まるで
絵に描いたような蔦の絡まる 古い便所 が
視界に飛び込んでくる。天の助けと、そこを
利用するのだが…。
作者の端正な文章が 違和感 を払拭して
正常性バイアスに更にバイアスがかかる。
この手腕たるや、御見事!
何故…? そんな事はいつの間にか文章の
文字と文字との間にこぼれ落ちてしまう。
漸く人心地ついた男を脅かすノックの音。
まさにホラーの醍醐味であろう。
何度も何度も執拗にノックされる戸。
途方に暮れるも、勇気を持って開けた先の
糸瓜。
不条理?否、そうではない。ここからの
畳み掛ける様な展開と戸惑いとに、思わず
眩暈にも似た感覚を持て余す事になる。
間違いなく、これはホラーだ。
蔦に絡み取られた呪縛の連鎖は大きな輪を
形作る。それは輪廻であり呪縛でもある。