主人公アヤメが双子の妹ルリとの目覚めから始まる物語は、アイドルや学園、魔王などの要素によって彩られていきます。
序盤だけでも異世界ファンタジーのあらゆる要素が詰め込まれ、物語設定も明確なので、すんなりと読み進めることができます。
アヤメはもちろんのこと、ルリやクルミといった人物の造形も豊かで、恋人候補と思われていたサイカの意外な一面に触れたりと、予想からの心地よい裏切りが実に爽快。
なによりコミカルと不穏さのバランスが絶妙で、さらには常に謎が横たわっているため、緊張感とドキドキ感が楽しくて仕方ない。
情報量の熱やネーミングも素敵で、視点ごとにテンポが異なるのも、常に新鮮さを感じれるというサービス旺盛な構成。
プロットに相応の時間が注がれたことが想像でき、なにより優れた筆致による物語への引き込みが強烈です。
対話がかわいく、でも緊張感もあって、まるで甘味とスパイシーな食べ物を同時に口に入れているかのよう。
実際にしっかりケーキやショコラも出てきたりと、読みながら豊かな気持ちになれます。
今は視点変更バージョンの前作『アイラブ勇者様!』もあわせて拝読しているのですが、いずれも読み応え抜群の物語なので、とにかくページを開いてみることをオススメします。
第9話までのレビューです。
まず驚かされるのは魔法使い・サイカ・ワ・ラノのキャラ造形です。主人公アヤメの恋人候補になると思いきや、ケースバイケースで魔王にもなりうるという設定。敵味方どっちつかずのキャラがすぐ近くにいるシチュエーションは、危険でスリリングな展開を想像していましたが、なんと予想外!
物語の構成も巧みです。張り詰めた状態からのチルアウトも魅力的なんです。アヤメたちが居候するバフォメット喫茶がとてもアットホームで心地よく、いつまでも心のステーションでいて欲しい。緩急自在で読者を飽きさせない工夫が巧いほど楽める作風に魅せられます。
最後に名前に秘められた謎。
サイカ・ワ・ラノ――この名前、特徴的ですよね。この文字の列……何か見えてきませんかね?
水面下に潜む謎も今後解き明かされていく展開も見逃せません。
今後も楽しみな作品です😊