静かな日常の中に“異物”が落ちてくる瞬間を、非常に巧みに描いている。転校生・月影新二は、外見も言動も一見平凡だが、物語が進むにつれ、その“平凡”がむしろ異様な静けさとして読者に残る。
そして、彼の能力の描写が鮮烈だ。サイバー攻撃訓練での異常な速度、体技での記録更新、知識科・戦略科での圧倒的な成績。どれも「天才」という言葉では片付かない、どこか“人間離れした違和感”が漂う。
主人公・遠藤清斗の視点は、読者の感覚と非常に近い。驚き、戸惑い、そして気づけば距離が縮まっていく。
この“友情の芽生え”が丁寧に描かれているからこそ、ラストの「月影強一」という指名手配者の名前が突きつける衝撃が強烈に響く。
物語の構造としても秀逸で、
• 穏やかな導入
• 月影の異能の提示
• 主人公との関係性の深化
• そして最後に落とされる不穏な真実
という流れが非常に美しい。
読者は「月影とは何者なのか」「なぜここに来たのか」「清斗との関係はどう変わるのか」という問いを抱えたまま、次の話を読まずにはいられなくなる。