紀元前から未来まで、異なる時代を生きる人々が「手をあげる」瞬間の覚悟を描いた連作掌編である。霧中の合図や民会の採決、延命の拒絶など、挙手という普遍的な動作に込められた多義的な意味を鮮やかに切り取っている。各話末尾に記された人物データや時刻が物語に重層的なリアリティを与えており、一瞬の情景から背景にある壮大な人生を想像させる構成が極めて秀逸だ。短編の構成力を楽しみたい者や、歴史・SFの断片を味わいたい読者におすすめできる。