目覚め


「……あれ?」


気づいたら辺り真っ赤な場所にいた、地面は黒で空も全部真っ赤だ。俺がなぜこんなところにいるかは分からない、昨日仕事から家に帰ったことまでは覚えているが、そこから先は記憶が飛んでいる。


しばらく歩いていると、同じ景色が続くばかりで、まるで平らな世界にでもいるようだ。あとこれも分かったことだが、空が真っ赤なのは見上げるほど大きな赤黒い太陽があるからだ、それ以外の空は灰色だった。なぜ、あんなに近い太陽があるのに不思議と暑さを感じないのか、不思議だ。体感温度は二十五度くらいでむしろ涼しくて心地良いくらいだ。


歩く、歩く、歩き続ける、やがて疲れて地面に大の字に仰向けになる。質感も普通の土と同じだが、なぜか虫の一匹も見当たらない。このままこの世界にいてどうなるのか、生きていけるのか疑問が浮かぶがそれでも良いと思い目を瞑る。


(……?)


ふと空を見ると、なぜか太陽がさらに大きく見えた。なぜ大きく見えるのか不思議に思いながら考えていると、突然俺は本能的に焦燥感を覚え、立ち上がる。なぜか太陽から離れなければと思考が巡り、それに背を向けて走り出す。


走り、走り、走り続ける。不安から後ろを振り向くと、太陽はさらに大きくなって空を埋め尽くしていた。俺はそれに驚き、さらに走るスピードを上げる。


「嫌だー!嫌だ!」


せっかく機械のように働き続ける一日から抜け出せると思ったのに、たぶんあれに追いつかれたら何かが起きる、とても俺にとっての不吉な何かが。そう思うと足に力が入るが、やがて呼吸も乱れ始め、肺が苦しくなって力尽きるように前かがみになって倒れる。


そして激しく呼吸しながら後ろの様子をうかがうと、目と鼻の先にそれがいた。そしてさらに近づこうとするのを見て、俺は転がりながら逃げようとするが……。


「うわああああ!?――」


そして世界は移り変わる。


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