第4話

 前回までのあらすじ。

 

 ヒーラー問題を解決した勇者。

 ステゴロがやたら強い以外は完璧な僧侶リリス

 だがしかし、彼女には致命的な欠点があった!

 それは…

 風呂に入っていない!!!!


 聖剣が見せた歴代勇者の記憶、風呂にはいらねば敗北する。

 その結末を知る勇者ブレイブにとって、風呂キャンは魔王討伐の成否を分ける重要な要素だった。


 

 「私、沐浴できないんです!」

 「香水たくさん振ってきてよかった!」

 リリスの無慈悲な笑顔が勇者ブレイブに刺さる。


 勇者ブレイブは迷っていた。

 想定される最悪の事態だ。

 風呂に入れ。と同性にいうのは簡単だ。

 だがしかし、相手は女性。

 しかも今日知り合ったばかりだ。

 ヘタなことを言えば、勇者としての品格を疑われかねない。

 この場で、性急に回答をせず、彼女がなぜ水嫌いなのか、風呂に入ろうとしないのかを調べなくてはならないだろう…

 落ち着け、勇者ブレイブ、騎士学校で鍛え上げた対人折衝能力を最大限に活用するんだ…!


 捻り出した答えは…

 「大丈夫、それより怪我したりしていないかい?」

 (話題をまずすり替える。)

 リリスは答える。

 「ええ、勇者様のおかげでかすり傷一つありません!」

 (よし、食いついた。)

 「そうか、何かあったら大変だからな、知り合ったばかりだが、リリスにはうちのパーティーで回復の中核を担ってほしいと思ってる。」

 「そんな…私もお役に立てるように精進します!明日からもよろしくお願いします!」

 「あぁ!また明日もよろしく頼むよ!今夜はおやすみなさい!」

 そう言って勇者は宿へと向かった。


 ーーーーーーーーーーーーーーー

 とりあえず。一旦、考える時間を得た。

 宿に戻り、風呂を済ませ、ベッドに腰掛けた勇者。

 両手を組み瞑想して、思考を加速させる。

 

 こうして、新規のパーティーメンバーが入った時に親密度を上げるにはイベントを起こす必要がある。

 だがしかし、そう都合よく、なにかが起こるわけもない。


 そうすると、大体は問題ごとについて情報を収集するのが定石だ。

 幸い、教会というのは常に門戸が開かれている。

 誰でも出入りして構わない。

 だが、今の俺は勇者、街を歩くだけで目立つ。


 注目の的だ。それはもう。

 そんな俺が急に教会の修道士に

 「あぁーちょっと聞きたいことがあるんだが…」

 なんて気軽に話しかけるコマンドを選択してみろ。

 翌日、俺がなにについて情報を集めているか、もうそんな噂で教会は持ちきりだろう。

 修道士は修道士であって神ではない。人の口に戸は立てられない。女の園だろ、もう噂話とか爆速で広まるって。

 

 …なんかハードじゃね?なんか聖剣から見えた別の勇者の記憶だと、町中のありとあらゆる人にしつこく話しかけて、会話のパターン全部見ないと気がすまないなんて奴いたぞ。

 …めっちゃ粘着質じゃん。そんなずっと話しかけられたら話すネタも尽きて、同じ事しか言えなくなるって。


 とにかく、リリスが沐浴を嫌う理由をどうにかして知らなければ…


 初めてのパーティーメンバーを加えた勇者、悩みは深く、夜は更けていくのだった。

 

 


 

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勇者よ、風呂へ入れ。 金谷 勇作 @nitoumusousai

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