緊張感のあるプロローグによる本作は、高校生の主人公リクトが曖昧な記憶のもと森の中で目覚めるところから始まります。
そして現れる完璧な対称(シンメトリー)の少女は、華奢な体で大きな両刃の戦斧(バトルアックス)を携えていた。
この時点で「おおっ」と興味をそそられ、その後は読みやすい文体にグイグイ引っ張られていきました。
シンメトリーガールことシェルンとリクトとの掛け合いは楽しく、戦闘描写のスリルが気持ちいい。
計算し尽くしたかのようなシンメトリーは、そのまま物語としての均衡にも反映しており、ユーモアとシリアスのバランスが実にお見事。
物語で語られる死や祈りは深みを与え、やがて喪失、救いへと進んでいく。
食事の描写も興味深く、個人的には博多弁が飛び交う章が好きでした。
「アンバランス!」と突き放すように言うシェルンにクスッとなったりと、ふと楽しく読んでいる自身の姿に気づきました。
じんわり胸にしみるラストが待ってますので、ぜひこの均衡ある物語のページを開いてみてください。