第1話で示される、喪失の円環。
強烈に印象付けられた運命を下敷きにして、読者は本編を読み進める事になる。
これが本作品の、本作品たるゆえんである。
主人公は運命を知らず、魔王城で成長していく。
穏やかな朝食、不器用な仲間たちの関係。あたたかな日常が丁寧に積み重ねられていく。
それが、読者の胸に強く刺さる。
善意が相反する運命を育てていく。誰も悪くない。だが世界の仕組みがそれを許さない。
その理不尽さに抗う登場人物たちから目が離せなくなる。
あたたかな場面であればあるほど、読んでいて胸が痛くなる。
だからこそ、優しさが染みる作品だ。