18〜19世紀、吸血鬼が人間を支配する架空のイギリスを舞台に、その物語は幕を開きます。
孤独で冷徹な女性のヴァンパイアハンターであるゲルトルートは、かつて何者によって惨殺された妹に化ける謎の吸血鬼ジゼルを他の吸血鬼を判断するための「探査機」として側に置き、吸血鬼を狩っていました。
ゲルトルートはジゼルを人間扱いはせず、肉壁として敵の攻撃を防いだり、逃げ出さないように鎖で繋いでおくなど少々手荒い扱いをします。
しかし、それはかつて愛した妹を完璧に模倣するジゼルに情が湧かないようにするためのゲルトルートなりの防衛本能でした。過去の可愛らしい妹と彼女をフリをするジゼルの姿が交互に脳裏に浮かび、ゲルトルートの心を惑わせます。
そしてある日、ふたりは仕事のためにとあるサロン(社交会)へと足を運びますが......
この作品では実際にかつてのイギリスで使用されていたヤードやミニムなどの単位や生活風景などが精巧に文の中に組み込まれており、まるでヴィクトリア時代のイギリスへタイムスリップしたかのような感覚すら感じさせます。全話9999字が生み出す舞台劇は、きっと吸血鬼モノが好きなあなたを満足させるはずです。
短い中で「面白かった」と心から感じる小説です。ぜひ読んでみてください。