ふと開いたらつい最後まで読まされてしまったお話。
バリキャリ風のスミコが指輪を手にしたことから、世界はその輪郭をにじませてゆく。アハ体験的に生活のディテールが変化してゆく様子はちょっとしたホラーだが、しかし本作が恐ろしいのは、そうした変化のただ中にありながら、スミコの心が決して揺れないところだ。
読み終えてタイトルの意味に気付かされる。
同時に、「完璧」や「完全」は世界からの逸脱をも意味するのかもしれない、と思わされた。
子育てしながら働く女性の解像度が非常に高いのもおもしろかった。スミコは決して感情的にはならないが、その抑圧もまた恐ろしく思えた。