この物語は夢をめぐる幻想譚です。
日本古来の〝迷い家〟の巷談や、中国の古典的な夢の説話にも通じる奇譚。
そこにバーチャル配信という現代的な題材を重ねて、どこか懐かしくて、それでいて新しい読後感を生み出しています。
主人公は、進学して幼稚園の先生を目指す道と、現在続けているバーチャルライバーとしての活動を本格的な職業にする道。
二つの選択の間で心を揺らしています。
それは単なる進路選択にとどまらないのです。
学力への不安、職業としての不確実性と〝楽な道を選びたい〟という気持ち。
様々な気持ちが絡み合い、現代を生きる若者ならではのリアルな葛藤となっています。
どちらも捨てきれず、どちらにも踏み切れない。
そんな彼女の前に現れたのは───
〝 Café Démon et Fée 〟
不思議な店です。
そこにいたのは、美しくもどこか人ならざる気配をまとった二人の店員、ロザリアとアヤ。
お店の提供する苦いコーヒーを口にした主人公には、何かが起きます。
印象的なのは、作品全体に通底する対比の構造です。
理想と現実、努力と近道、満足と比較。
そうした相反する要素が織り重なるなかで〝自分はどう生きたいのか〟という青春期に普遍的な問いが語られています。
〝どちらかを選ぶ〟選択ではなく〝どう在りたいか〟を問い直す物語なのです。
物語の最後に主人公の選んだ未来とは?
ロザリアとアヤの真の目的とは?
小さな決意と大きな秘密が読む者に明かされます。
楽しい物語です。
どうぞご覧ください。