昔話と神話と歴史上の伝説が同じ世界に存在する異世界。
川から桃とともに流れてきた赤ん坊の桃花は、鬼を絶滅寸前まで追い込んだ規格外の老夫婦に拾われます。
二人のもとで育った桃花は、幼い頃から剣術や射撃など命懸けの戦闘訓練を受け、そして十六歳の春を迎えてーー。
有名な昔話を連想させる導入からの飛躍力が素晴らしく、予測不能な展開の魅力が物語へ引き込みます。
文体はリズミカルで読みやすく何度もクスッとさせられ、物語を読み進めるにつれて、桃花の出生にまつわる謎や善悪の境界など、物語の奥にあるテーマが少しずつ浮かび上がってきます。
昔話をベースにしながら、GPSやアプリといった現代的な要素まで入り込む作者様の独特の世界観が心地いいです。
コミカルな表面の下に隠されたシリアスな物語の二重構造こそ、本作の大きな魅力だと感じました。
ぜひ、このカオスなファンタジーの世界にどっぷり浸かってみてください。