空色とは、淡い、少し優しいトーンの青です。藍白よりも濃くて、天色よりは薄い青。
小説を読むとき、強く色を意識させられる作品にときどき出会います。本作はまさに空色をずっと感じさせられる作品でした。
常盤くんと千歳くんの個性の底に流れる共通の青、それぞれの家族との複雑な関係性を思わせる青、学校の空気感を支配する青。作品の中で起きる出来事には、いたましいものもあれば、みにくいものもあるのに、作者さまの筆がすべてを空色に染め上げているように感じられます。
生きていくには、きれいごとではうまくいかないことが山ほどあって、年を取るにつれ、それが人生だと思うようになります。でも、本当にそうでしたっけ?
常盤くんと千歳くんの青くひたむきな足掻きを見つつ、同じ空色をかきわけながら、未来に手を伸ばそうとしていたあの頃をの気持ちを、ちょっとだけ切なく思い出したのでした。
多用することのできないこのフレーズ、私はこの作品に惜しげもなく使わせて頂きます。欲しいのは「ふたりの物語」。小説だから、フィクションだから、という言い訳に対しては、だからこそ!という言葉で返させて頂きます。
男子高校生同士の戸惑いつつも止まらない恋心、そして互いを支えにして向き合えたそれぞれの家族。関係性の変化を伝えてくれる主人公の独白の適切さと臨場感は、他作品でも証明済みであるように作者様のお家芸であり真骨頂。てゆうか小難しい事なんて抜きにして、常盤くん優しすぎんよ千歳くん可愛すぎんよ。
一度しかない季節に揺れる笑顔、新しい航海に弾けるメロンソーダ。こんなBLみたいな百合を、私も書いてみたい。