二人の出会いの光景が、とても美しいのです。
光に透ける白髪、ビードロのような赤い瞳、浴衣姿で赤いパラソルをくるくる回しながら、空を浮遊する少女、鯉池赤鱗(こいけあかり)
誰にも見つけてもらえず、空を彷徨っていました。
目が合った―――
ただ一人、彼女を見つけてくれたのは金髪頭の小学生、多岐辰哉(たきたつや)
お昼代として親が置いて行った五百円玉を握りしめて、夜少年の両親が営むクレープ屋に頻繁にやって来る少年です。
いつも、一人でいる彼は、一人が好きなフリをしていました。
迷子だと言う赤鱗は、ある場所を探していました。そこで、二人は古地図を手に入れて探しに行くのですが……
二人が少しずつ打ち解けて、心を通い合わせていく様子が尊くて、読んでいて、何度も胸がぎゅっと掴まれました。
まだまだ幼い彼らが、勇気を振り絞って挑む冒険。
寂しい心が繋がり、温もりを知る瞬間を、是非皆さんも分かち合ってください!
お勧めです。
居場所のない少年と、彼にしか見えない錦鯉の少女。
少女は空へ昇りたくて、少年は地上で迷子のままで――そんな二人が手をつないで歩き出す物語です。
孤独な二人が出会い、すれ違い、それでも手を離さないでいようとする。
その一本芯の通った願いが、最初から最後までぶれません。
だからこそ、読んでいるあいだずっと二人のことが心配で、そして愛おしく感じられました。
少年を取り巻く大人たちの距離感も絶妙でした。
近づきすぎず、けれど確かにそこにいてくれる。
クレープ屋の店番も、古本屋の店主も、一人ひとりの言葉がじんわりと沁みてきます。
そのうえで、何より言葉の使い方が見事です。
恋と鯉、落ちると堕ちる、登ると昇る。
同じ音が何重にも意味を重ね、読み返すたびに違う景色を見せてくれる。
まるで言葉そのものが旋律を持ち、物語の中で響き合っているようでした。
そして、「赤」という色が、読み進めるごとに意味を変えていく構造も本当に美しいのです。
痛みの赤が、あるきっかけによって幸福の赤へと塗り替わる瞬間には、思わず息を呑みました。
この物語が曲になったなら、どんな音を奏でるのだろう――
きっと、愛おしくて切ない、鮮やかな音楽になるのだと思います。