第13話

また結局穂南小絵は

外山莉子のところに戻ってきた

やっとことで階段を突破すると

音楽室に私は侵入した

莉子の隣の席につく、今日は歌だった

莉子の歌は好き、綺麗なんだけれども

ちょっと恥ずかしそうなところ

そこが可愛くて特に良い

いかにも彼女らしい歌い方だ

莉子が席につくと"後で話そう"と囁いた

その声から所作から何から何まで愛おしい

私は結希を好きになるべきであった

実際、私は結希を恋愛対象として

見ていないわけではなかった

私は次の会話でカタをつけるべきなのか?

そういう考えが私の頭をよぎった

完全にデッドロック状態だ

授業の時間が途端に長く感じられた

時限爆弾が爆発するまで

秒針を数えているような気分だった

お腹がキリキリと痛んできた

そんな時莉子が私の手を掴んだ

"何か困ってる...?”

そうこういうところが好き。じゃなくて... 

"う...ん...莉子は...私のことどう思う...?"

"正直に言って良い...?"

"うん..."

"可愛いと思ってる...でも恋愛じゃない"

"私が好きって言ったときどう思った?"

今度はそう聞いてみた

"驚いた...けど私には刺さらないみたい..."

"そっか..."

"ちょっとひどいこと言っても良い?”

私は軽く頷いた

"もし小絵が私だったとして

好きじゃない人と付き合ったりする?"

そう聞かれた

"違う...私はそっちのが相手に失礼だと思う"

私は少し苦し紛れにそう答えた

"なら...今は告白されても無理して

付き合わなくて良いんじゃないかな?"

私の驚きに構わず彼女はこう言った

"小絵の悩みぐらい分かるって"

穏やかな南イタリアのメロディが

延々と部屋に流れていた

それなのに心は落ち着かなかった

私はまだ莉子と対等に話せるほど

彼女から多くを学んでいなかった

私はまだ結希と付き合えるほど

聡明な人間でもなかった

それが私の編み出した逃げ道だった

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