通り魔に刺され生死の境を彷徨う少女・ユウが、自殺者が絶えず餓鬼が蠢く「いし村」からの脱出を目指すダークファンタジーだ。支離滅裂な遺書や「首吊り橋」といった不気味な光景の中、自分を殺した犯人・石崎と共に生還を目指すという皮肉な状況が描かれる。亡き母との再会や「徳」による選別など、死生観に基づいた重厚な設定と、予想外の結末が読者を惹きつける一作である。因果応報や皮肉な展開を含むミステリアスな物語を楽しみたい層。絶望的な状況下で描かれる家族愛や生への強い意志に触れたい読者におすすめできる